音響さんはみんなの視線を感じながら配線を調べています。
余興の幕開けなのですが、音が出なかったり途中で止まったりしました。
「断線しているのかもしれません」「接触が悪いんじゃないか」そんなやりとりが聞こえます。
こんな時司会はどうするかというと、ひたすら回復を待ちながら会場の雰囲気を和やかにしつつ、待っていただくMCを。
「今ステージでは、新婦のお友だちの皆さんがとってもかわいいポーズで音楽の始まりを待っていらっしゃいます。音楽が聞こえてきたら踊っていただきますネ。もう少々お待ちください」とステージ上に話しかけ、一方では「こんなハプニングに出会うことができたなんてラッキーなことかもしれません。だってめったに起こらないことですし、思わぬ出来事って人生にはあり得ますものね。」なーんて言いながらつないでみました。
内心は穏やかではありませんが。
直るまでの間、新郎新婦に関するインタビューなどしたこともありました。
以前、カラオケの不調でお客様がすっかりご機嫌斜めになったことがありました。
「こんな状態で歌わせんじゃねぇよ!」と一言。
このままはまずいのでぜひ再チャンスをと願い出ました。
それでも首を縦にふっては下さいません。
友人にあたる新婦のお父様も「まぁまぁ、機械のことだから許してやってくれないか」とフォローしてくださいました。
まわりのお客様も「もう一曲聞かせてくれないか」と言って下さったり。
結局歌っていただくことはできなかったのですが、最後にそのお客様が「これからもがんばってください」と声を掛けてくださいました。
おわびする私に、新婦のお父様は「いい披露宴をありがとう」とおっしゃってくださってますます恐縮しました。
「フォローしてくれてありがとうございます。自分の結婚式の時はやっぱり田仲さんに司会してもらいます」という音響担当スタッフのことばには笑ってしまいましたが。
冬場は婚礼数も少なめで、司会は充電の時期。
多様な場面を想定し、これからも安心してもらえる司会者でいたいです。