披露宴の前のスタッフさんとの雑談中、一人の若手スタッフが語り始めました。
「おれさぁ、ずっと昔、赤ちゃん連れの女性に『これ、さっさと片付けておいてよね』と言われたことあるんだ。赤ちゃんのゲロ…」
「それで?」
「黄色いような白いようなそれ、強烈に酸っぱくてさぁ」
「うん、うん」
「テーブルの下に頭突っ込んで拭きながら、自分もオエッてなって…」
「そ、それで?」
「涙出てきた…」
「……」
「泣きながら何度も何度もじゅうたんを拭いたよ。今はほら、衛生面のこともあるから専門の人にお任せできるからいいんだけどね」
そうだよね、お客様の晴れの日のためには何でもアリだよね。
それも経験だよね。
そう言いながらキャプテンの肩が小刻みに揺れ、笑いをこらえているのがわかりました。
気の毒なんだかおかしいんだか、私も聞こえない振りしながら笑ってごめんなさーーい。