打合せ中、新婦のお父様が「花嫁姿を予想しただけで、もう…」と顔を伏せ鼻をぐっとつまみました。
追い討ちを掛けるようにお母様がエピソードを一つ。
「この人は、娘の予防注射に付き添ったとき、こんな小さい腕に針を刺してどんなに痛いだろう、かわいそうにかわいそうにと泣いたんですよ。」
「あ、それ言われると思い出してしまう」とまた涙ぐむお父様。
やがて新郎のお父様が、新郎が病気だった20代の時の思い出話を始めました。
難病で、今すぐに死んでも不思議ではないという状態だと聞いた時のこと。
我が子に「お前は死ぬよ」とストレートに話した時のこと。
それまで大声で話していたお父様がうつむいて声を詰まらせました。
「だからさ…、今こうしていられることが、ほんとうに……。」
一時は死を覚悟した息子が結婚する。
しかもお正月には初孫誕生予定です。
これ以上の幸せはないとほろほろ涙される両家のお父様。
心底喜んでいただける披露宴にしたいと気持ちを新たにしたことでした。